- 病理診断科
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診療の特徴
病理診断科では、直接患者さんを診察することはありません。病院を受診されますと内科、外科、婦人科、皮膚科など臨床の先生が診察され、必要ないろいろな検査を指示されます。そして視診や内視鏡、各種画像検査などで異常所見が見られた場合、適切な診断のため患者さんから組織や細胞が採取されます。病理ではガラス標本を作成し顕微鏡を用いて行う業務が病理診断で、それを専門とする医師(病理診断医・病理専門医・細胞診専門医)により最終診断が行われます。病理診断には組織診断、細胞診断、術中迅速診断と病理解剖(剖検)があります。
当科は常勤病理医2名(日本病理学会専門医・日本臨床細胞学会専門医)、非常勤病理医1名(産業医科大学病理学教室より週1日派遣)と臨床検査技師(細胞検査士4名)により業務が行われています。
診療内容
組織診断
生検組織診断と手術摘出後組織診断があります。
胃や大腸など内視鏡検査を行った際、あるいは気管支鏡や膀胱鏡で病変部の一部を採取したり、乳腺エコー検査で確認された乳房病変を針生検で組織を採取し、顕微鏡標本を作成し病変の診断(良性か悪性か,特殊な炎症性病変か否か)をするのが生検組織診断で、この診断はその後の治療方針に活用されます。
また手術で摘出された各種臓器(胃、大腸、乳腺、肺、肝臓など)は写真撮影後、病変部位の標本を作成し顕微鏡観察で診断するもので、例えばがんの場合組織型や早期がんか進行がんか、手術で取り残しはないか、どのような追加治療が必要かなど最終的な診断を行い臨床医に情報を提供します。
同じ病気でも患者さんによりがんの性格は異なり、必要に応じて免疫組織化学染色や特殊検査を加え、病理診断の精度の向上に努めています。
細胞診断
肺がんや膀胱がんでは痰や尿の中にがん細胞が見られる場合がよくあり、喀痰、尿や腔水症などにがん細胞が存在するか否かを診断するのが剥離細胞診断です。また婦人科では子宮頸部の綿棒あるいはヘラ擦過細胞診が行われ、癌か否か、HPV 感染があるか、そして境界病変の有無を細胞診断します。また肺がんの診断では喀痰細胞診に加え内視鏡下気管支擦過細胞診も行なわれており、細胞診で疑わしい場合には組織診断の必要性を記載し臨床医に報告します。
術中迅速診断
手術中に異常な病変が見られた場合、直ちにその部の凍結標本を作成し病理診断を行うものです。
当院乳腺外科では乳房温存術が行われており、手術された断端のがんの有無を確認する為に術中迅速診断を行っています。もし存在する場合追加切除し再度標本作成し、出来るだけ断端陰性を目指しています。また消化器外科の場合手術中にあやしい病変が見られた場合や胃がん・大腸がんの場合には切除断端にがん細胞がいるか否か、あるいは術中細胞診を行い腹膜表面にがん細胞が露出しているか否かなど調べ、手術方針の決定に活用しています。
病理解剖
不幸にして入院中に亡くなられた患者さんに対して行われる病理診断が病理解剖です。これには、ご遺族のご理解とご承諾が必要で主治医の依頼により解剖資格を有する病理医が行います。
肉眼による診断に全身臓器の病理標本を作成し病理組織診断を行い、生前の診断や治療法が正しかったか否か、亡くなられた死因はなんであったかなど、主治医に各科臨床医と多職種の医療各従事者が出席し検討会を行い、今後の医療に役立たせます。そして病理解剖の結果は病理医から主治医へ報告し、ご遺族に説明されます。
各科臨床とのカンファランス
臨床医と病理医に各種医療技術部門の技師が出席し術前・術後症例について検討会を行います。術前患者さんの臨床病理診断の説明に手術範囲の確認と術中診断などの打ち合わせや術後患者さんの最終診断を互いに討論し、術後の治療方針などについて検討します。
臨床研修医教育
当院は初期臨床研修医認定および日本病理学会認定施設病院であり、毎年9名の初期研修医を受け入れています。
病理診断科では初期研修医に病理診断科の役割や手術検体組織診断書レポート作成の教育指導をする予定です。切り出しを一緒に行い、研修医は自ら切り出した症例の臨床経過をまとめ、肉眼診断と病理診断を行い、最終的には組織診断レポートを書く予定です。