本邦では珍しく、泌尿科専門医と婦人科専門医で混成チームを作っています。各科の障壁を取り払い、各々の得意とする診療能力を結集し、質の高い医療を行っています。
さらに専任のクラークによる予約、受診案内、専任理学療法士による骨盤底筋体操の指導など患者さんに寄り添うサービスを提供しています。子宮脱、膀胱脱、直腸瘤、直腸脱、難治性の頻尿、尿失禁などでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。
主な対象疾患
骨盤臓器脱
子宮、膀胱、直腸などの骨盤内にある臓器が膣壁を押し下げて体外まで下垂してくる病気の総称です。膣からピンポン玉のような丸いものが触れるといった症状をはじめ、頻尿、排尿困難、尿もれ、排便困難など下がっている部位や程度で様々な症状が現れます。
治療は手術による治療になります。
当院で主に行っている治療はメッシュによる補強を行うものです。方法は2つあり、腹腔鏡手術(腹腔鏡下仙骨膣固定術)と経腟手術(TVM手術)です。どちらも低侵襲で高い治療効果を望める手術で、1週間程度の入院で行っています。いずれも保険適応の手術であり、当科ではこれらの手術をこれまで数多く施行してきています。下垂している部位や程度はもちろん、患者さんの年齢、全身状態、生活スタイルなどを考慮し、どのような治療法が適しているかをご提案しています。お気軽にご相談ください。
※女性骨盤底医学会が指定する経腟メッシュ手術に関する講習を受講した医師が手術を行っています。
症状の例
- おなかの中が下がった感じで気持ちがわるい
- ピンポン球のようなものが膣からはみ出た
- いすに座ると股間に何かはさまっているような感じがする
- 尿や便が出にくい、尿漏れがある
骨盤臓器脱の腹腔鏡メッシュ手術
尿失禁
女性の尿失禁の主なものには、急にトイレに行きたくなってこらえられずに漏れてしまう「切迫性尿失禁」と咳やくしゃみをした時などお腹に力が入ったときに漏れてしまう「腹圧性尿失禁」があります。実際にはこれらの両方が重なった混合性尿失禁の方が多くおられます。
当科ではこれらの尿失禁のタイプをしっかり診断し、治療に結び付けています。特に女性に多い腹圧性尿失禁は、細いテープ状のメッシュを用いて尿道を支える尿道スリング手術(TVT手術・TOT手術)も行っています。短時間で終わる手術で、3~4日程度の入院で行っています。
薬の効かない頻尿
トイレが近い(頻尿)、急に我慢できないような尿意が起こる(尿意切迫感)といった症状は「過活動膀胱」といわれ、患者は日本で800万人といわれ、40歳代で増え始めて高齢になるほど増加し、80歳以上では4割以上が罹患しているといわれています。多くの場合は過活動膀胱治療薬の内服で症状が改善しますが、内服でも改善しない、または副作用などにより内服継続が困難となった「難治性過活動膀胱」の治療も当院では行っています。
近年保険適応となったボトックス膀胱内注射、仙骨神経刺激療法も当科で施行していますので、治療に難渋していらっしゃる方がおられましたらご相談下さい。
また、このような症状には「間質性膀胱炎」が隠れていることがあります。検尿で異常がないのに、膀胱炎のような症状(頻尿、排尿痛、下腹部の違和感など)が続く場合間質性膀胱炎が疑われます。
間質性膀胱炎が疑われた場合は診断と治療を兼ねて膀胱水圧拡張術(膀胱内の中へ生理食塩水を注入して拡張する手術)を行います。間質性膀胱炎の患者さんでは、散在性の点状出血や粘膜の発赤(ハンナ病変)が認められます。このような所見が見られれば、診断が確定し、水圧拡張により症状改善が望めます。ハンナ病変が認められる場合は、多くは下腹部の痛みなど強い症状が出現しますが、その部位を電気焼灼することで症状が改善します。
膀胱協所見
よくあるご質問
Q.北九州総合病院ウロギネセンターを受診したいのですが、どうしたら良いですか?
A.月~金曜 8:30~11:00までに受付をして下さい。※第二木曜のみ休診
また、院外業務や学会等で臨時に休診する場合がありますので事前にご確認ください。
Q.はじめて診察を受けたい場合、紹介状は必要ですか?
A.紹介状がなくても診察を受けることは可能です。ただし、初診時に紹介状が無い場合は選定療養費をお支払いいただきますのでご了承ください。
Q.尿もれや骨盤臓器脱の症状は私だけでしょうか?
A.病気自体珍しいものではありませんので、恥ずかしがらずご相談ください。
Q.尿もれや骨盤臓器脱について、どれくらいの症状が受診の目安でしょうか?
A.仕事や家事の妨げになることや、外出が困難になることがあればご相談ください。ご自身の生活における不快感や不安など、どの程度の支障が出ているかがポイントです。
Q. はじめての診察に気を付けることはありますか?
- 尿検査を行うので少し尿をためてからお越しください。
- 保険証や受給者証、お薬手帳や紹介状があればお忘れの無い様にご持参ください。
- 骨盤臓器脱の症状の方は、なるべく症状が出た状態での受診をお勧めしています。少し動いたりしてからお越しください。
- 内診がありますので上下が分かれていて脱ぎ着しやすい服装でお越しください。
Q.生理中ですが受診できますか?
A.受診できます。受診の際に担当スタッフにお申し付けください。
Q.手術は全身麻酔でしょうか?
A.手術によって異なります。少しでも患者さまのお身体に負担が少ない手術及び麻酔を心がけていますのでご安心ください。