当院では、2020年2月に低侵襲手術ロボットシステム「センハンス・ラパロスコピー・システム」(TransEnterix社製)を導入いたしました。
センハンスは、腹腔鏡下手術をデジタル化し、より安全に施行できることを目指し開発されたシステムです。従来の腹腔鏡下手術と同じトロカーを使用しますので、小さな傷で行えます。
ダヴィンチロボットシステムは日本で行われている手術支援ロボットです。しかし、保険適応が数症例にしかみと認められていません。今回、センハンスロボットシステムが日本で認可され、全ての腹腔鏡下手術に対して保険適応が認められました。米国では2018年初旬から臨床応用されており、本邦では埼玉医科大学国際医療センターに次いで当院が2番目の臨床使用となりました。2020年2月17日から開始しています。
センハンスシステムは通常の腹腔鏡手術で用いられる硬性鏡、トロカールや3mmの細径鉗子も使用できリユースですので経済的にも優れています。
ロボットアームに取り付けた手術器具の先端で患部に触れた際にその感覚を術者が持つ手元のグリップに伝えることができます。術者はコックピットから緻密に手術を行えます。
手術支援ロボ ット
センハンス・デジタルラパロスコピー・システム(Senhance Surgical System)
センハンス・デジタル・ラパロスコピーによるロボット支援手術のメリット
傷口が小さい
内視鏡や鉗子を挿入するため、3~12mmの傷で済みます(術式によって異なります)。手術によっては摘出臓器を取り出すために傷を延長する必要があります。傷が小さいので回復が早いです。
正確な患部の切除
鉗子の動きはコンピュータで制御されていますので、手振れ補正機構により鉗子先端のブレを最小限に抑えることが出来ます。先端の動き(スピード)は実際の動きの25%、50%、75%に制御できるので精緻な操作が可能となります。特に血管周辺の操作に利点があります。拡大視野で10倍以上の拡大と3Dまたは4K画面で精視野が確保でき、正確な切除が可能です。
術中の出血が少ない
ロボットによる精緻な操作により、開腹手術に比較して術中出血が少なくて済みます。ロボット支援手術の導入により術中に輸血が行われた例はほとんどありません。
触覚がある
ダヴィンチの鉗子類には触覚がないですが、センハンスの鉗子には触覚があります。臓器を掴む、引っ張るなどの感覚が鉗子から術者に伝わります。
術者が疲れない
座って手術を行うので、術者の身体に掛かる負担が少ないため長時間の手術でも疲労は少なくて済みます。
保険適用について
全ての腹腔鏡下手術に対してセンハンス・デジタル・ラパロスコピーによるロボット支援手術は保険適用です
したがいまして、胃癌、大腸癌、胆石症、ヘルニア、イレウス、などほとんどの消化器疾患と泌尿器疾患・婦人科疾患に対して保険適応です。現在は消化器外科におきましてロボット支援下手術を行っています。当院では今後は泌尿器科、婦人科と各疾患に対して順次対応していく予定です。
ロボット手術を受けられる患者様はすべて保険診療で行うことができますので新たな費用は必要ございません。
ロボット手術を受けられる患者様はすべて保険診療で行うことができますので新たな費用は必要ございません。