放射線を発する物質(放射性同位元素、アイソトープ)で目印をつけた薬品(放射性医薬品)を使い、脳や骨、その他全身の臓器や疾患の診断を行う検査です。微量の放射性医薬品を静脈注射または服用すると、検査目的の臓器や組織に集まります。このときに、体内から発せられる放射線をガンマカメラで検出し、その分布を画像化します。放射性同位元素は、体内で代謝され、異常な部分に特異的に集積する性質をもっているため、他検査で分からない機能的な診断ができます。
検査の手順
- 放射線総合受付へお越しください。受付後、アイソトープ検査室へご案内します。
- 放射性医薬品は、主に静脈注射により投与します。検査によって目的の臓器へ集積する時間が異なるため、注射直後に検査を開始する場合と、数時間後あるいは数日後の検査になる場合があります。
- 1回の検査時間は30分程度ですが、内容によっては1時間程度かかる場合もあります。
検査の注意事項
- 当院の核医学検査は全て予約制で行っております。放射性医薬品の有効期限が当日限りのものが多いため、検査日のご都合が悪くなった場合は必ず連絡していただきますようお願いします。
- 基本的に食事制限はありませんが、検査によっては食事制限をすることがありますので、予約時にご確認していただきますようお願いします。
- 妊娠中または妊娠の可能性のある方、および授乳中の方は検査ができない場合がありますので、事前に主治医にご相談ください。
- その他ご不明な点は、医師または放射線技師にお尋ねください。
検査の種類と特徴(一例)
骨シンチグラフィ
注射した薬剤が、骨の代謝や反応が盛んなところに集まる性質を利用して、骨腫瘍や骨の炎症、骨折の有無などを調べます。主にがん細胞が骨に転移していないかを確認する検査です。骨に転移しやすいがんである乳がん、前立腺がん、肺がんなどの治療前そして治療後の経過を観察するのに欠かすことができない検査です。
脳血流シンチグラフィ
脳に注がれる血流の情報を画像化することで、脳の血流量を視覚的に評価する検査です。解析ソフトを使用することにより、正常例と比較した血流量の低下度を調べることができ、他の検査では明らかな異常が見られない認知症の初期においても特徴的な異常がみられるため、アルツハイマー型認知症の診断に非常に有用です。
ドパミントランスポーターシンチグラフィ(ダットスキャン)
ドパミントランスポーターシンチグラフィは脳内の黒質線条体ドパミントランスポーターを画像化する検査です。CTやMRI、脳血流SPECT検査ではわからなかったドパミン神経の変性・脱落の程度を評価することが可能になり、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群やレビー小体型認知症の診断に有用な検査です。
検査の安全性
アイソトープ検査で使用するRIは、短時間に自然と減衰して無くなるものを使用しています。さらに、使用する量はごく微量であり、目的の臓器に集まったあとは、尿や便中に排出されるため、いつまでも体の中に蓄積されることはありません。また、検査を受けられる患者さんの周囲の方への影響についても、心配ありません。
アイソトープ検査で受ける放射線の被ばく量は、検査の種類によっても違いますが、10~60mGy(ミリグレイ)程度です。CT検査や透視検査と同程度の放射線被ばく量であり、人体に悪影響がでるようなことはありませんので、ご安心ください。